・・・・・・平成30年12月・・・・・・

 「虚空蔵菩薩
 13仏最後の仏さまで虚空蔵菩薩は、33回忌の導師で、真言は、「オン バザラ アラタンノウ オンタラク ソワカ」です。この真言を唱えることで大宇宙の智慧にあやかれるのです。
 虚空蔵菩薩は地蔵菩薩の対的存在と考えられる仏さまで、地蔵菩薩が「大地」の「蔵」を象徴しているのに対して、虚空蔵菩薩は「虚空」の「蔵」を象徴しているからです。大地の「蔵」がすべての「命」の源であり、慈悲心の象徴であるのに対して、虚空の「蔵」は大宇宙の理(ことわり)を象徴しています。虚空に蔵(かく)されているもの、それがすなわち「智慧」なのです。虚空蔵菩薩とは、大日如来の働きのうち、「虚空の智慧」の徳性をもって派遣された、まさに「智慧」の仏さまといえるでしょう。その智慧によってすべての人々に安楽と福徳の御利益がもたらされるといわれます。
 さて、仏教の目的は、「安楽」です。この安楽の法門の一つに「知足」があります。釈尊は入滅に臨み「知足」について口宣されました。
「汝等比丘、若(も)し諸々の苦悩を脱せんと欲せば、当(まさ)に知足を観ずべし。知足の法は即ち是れ富楽安穏の処なり。知足の人は地上に臥すと雖(いえど)も、猶(な)お安楽なりとす。不知足の者は、天堂に処すと雖も亦た意(こころ)に称(かな)わず。」(遺教経)
 心が、まだまだ富楽をあきらめきれずに「もっと、もっと(ほしい)」という「不知足心」が表れ、先のことは考えず今が大事、今さえ良ければという、刹那主義的欲望心にとらわれているとしたら、未来にほんとうの幸せは望めないかもしれません。「知足心」に基づいた生活を考え直さなければ、未来に幸福は望めません。持つ程に増すのが欲望心と言われます。必要以上の物欲にとらわれなければ欲望心は減ってくるもので、その基本が「知足心」です。知足心によって満たされた心にこそ、安楽はやってくるのです。
 「安楽の伝授というて外になし、ただ足ることを知るまでのこと」(一休宗純禅師)

合掌


来月も予定しています。光泰九拝
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