・・・・・・平成24年4月・・・・・・
 「松樹千年翠
 禅語に、「松樹千年翠 不入時人意」とあります。松の樹木は、千年も変わらない緑(翠)の色を保っているが、その時々の人々は松の緑色を眺めても、そのことを心にも留めないという意味です。
 4月は、お花見の季節です。桜の花を眺めその美しさを愛でて歓び、宴を催したりします。秋には紅葉狩りを楽しむこともあるでしょう。季節季節に咲く花々を好み、その美しさを喜びます。日本には四季折々の移ろいがあり、その時節時節に楽しみがあります。  
 一方、緑の葉を一年中保ち、あまり変化を見せない松の木は、人々の目をひくことは少ない存在です。しかしながら、松の木は海岸線の防風林であったり、風吹く険しい岸壁に張り付いたりと、きびしい環境でも、しっかりと根を張り強い生命力を持って生きています。その変わらぬ緑を保つのも、ただじっとしているわけではありません。表には現れないが、小さな変化を繰り返しながら風雪に耐えて「千年の翠」を保ち維持しているのです。
 私たちは、世の中の新しいものや面白い物、変化し変わっていくもの、そして華やかなものにばかりに目を奪われがちですが、変わらないもの、目立たないが確かなものにも真実があり学ぶべき存在であることを忘れてはいけません。仏法は不変であり、真理も不変です。変わらぬ松の翠に、強さや確かさを学びます。

合掌


来月も予定しています。光泰九拝
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